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航海日誌No.72 「無題」


2012年7月29日

今日は一日事務作業を行った。
航海チームのクルーはそれぞれに、写真や日誌といった記録の整理や、種車の掃除や荷物整理を行い、
メインの作業としては、8月6日の新潟入港の時、新潟の港が、各港での宿や随伴船など、
この航海プロジェクトを通して、お世話になった方々が集まり再会する場になるよう。
「新潟港到着記念、入港式〜交流会のご案内」の招待状の中身をつくったり、名前をリストアップする作業を行った。

招待状の中身は、今までの港の写真と随伴船の写真を日付と名前入りで時系列に並べ、
ここまでのリレー形式での航海が、どんな人の船でつながってきたのかが分かるようなペーパーがメインとなる。

ずっと一緒に航海をしてきて、クルー兼カメラマンの喜多くんが現場で撮った写真の枚数は2万枚近い。
その2万枚の写真から1枚1枚選ぶのも大変な作業である。
皆、同じ部屋で作業をしていると、ついつい写真の方に目がいってしまい。
そしたらもちろん、あの時はこうだったとか、あの人はすごかったとか、思い出話に花が咲き、あっという間に時間が過ぎていく。

航海中の海の上での時間感覚も不思議だが、写真を見て過去の記憶を辿る時の時間感覚もまた、不思議なものである。
自分の場合はどちらも、あっという間に過ぎてしまう。
1時間が10分とかに感じてしまう。浦島太郎の物語で、浦島太郎さんは、竜宮城で時を忘れてしまったが、
そのことも単なる昔話ではなく、時間感覚としてあり得るのだと思う。
海での出来事は、何かしら記憶に作用するのだろうか。

というか、もっとシンプルに考えたら、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうというだけのことなのかもしれない。
浦島太郎さんも、美味しい御馳走やタイやヒラメの舞踊りが楽しすぎて、あっという間に時が過ぎてしまった。
自分も航海での出来事が楽しすぎてあっという間に時が過ぎてしまっているだけかもしれない。

確実に終わりは近づいてきている。
8月6日まで、残りの時間を計算してしまう。振り返れば舞鶴を出港したのは5月19日である。
そして今日は、7月29日。2ヶ月と10日。
決して楽な航海ではなかったが、終わってしまう事実に対して複雑な心境になる。

この航海プロジェクトを通して、何を掴んだのか。
ちゃんと掴めているのか。
残す日数は、あと8日。
残された時間で、海と陸を往復し、海からの視座で日本を客観視できるのも、
海の日常に触れることができるのも、あと数回。
現場から感じ、考えることを、ちゃんとつかまえておきたい。

誰に招待状を送るのか、名前や送り先をリストアップしていると、
本当にたくさんの方の協力を得て、ここまで来られたのだということを実感する。
今、確実に言えるのは、連なった人の名前と船の名前、それがあったから今、ここにいるということである。
重ねた名刺もずいぶんと厚くなった。

明日は能生漁港から直江津港へ航海予定。

(テキスト:五十嵐靖晃)

記録

日時 7月29日(日)20:00 天気 曇り
現在地 能生港 最高気温 32.0℃
緯度 37°06′661N 最低気温 24.7℃
経度 137°59′888E 湿度 65%
進行 停泊 風向
航海航路 停泊中 風速 2m/s
気圧 1008.1hPa
航行距離 0.0海里(0km) 波高 0.5m
航行時速 0.0kt(0km/h) 降水量 0.0mm
出港時間 停泊中 日の出 4:44
入港時間 停泊中 日の入り 18:56
航海時間 0.0時間 満潮潮位 (9:47)46cm (**:**)**cm
船長 五十嵐 干潮潮位 (**:**)**cm (18:16)20cm
船員 喜多 塩野谷 菊池 随伴船 なし