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航海日誌No.42 「のとのととらく」


2012年6月29日

明日出港の予定なのだが、輪島から一緒に出てくれる随伴船が決まっていなかったので、
今日は輪島から高屋までの随伴船交渉と、高屋漁港→狼煙漁港→小木港までの停泊許可と随伴船交渉を行った。

交渉班と宝物づくり班とに別れて行動。
その前に、宝物づくりをするために、輪島の漁師さん達が暮らす地域に、ほど近い場所に朝一でTANeFUNeを移動させることにした。
輪島港の参事である舟見さんに確認をとり、現場立ち合いをしていただき船を移動させた。
漁師町に船を移動させると、さっそくTANeFUNeを見に、自転車に乗った年輩の漁師さんがやってきた。
年輩の漁師さんが

「なんだ、お前ら、まだ出て行ってなかったのか」

と声をかけてくれた。随伴船が見つかっていないことを知っていた舟見参事は、
すかさず、その年輩漁師さんに随伴船の話をしてくれ、自分もすかさず会話に便乗し、諸々の説明をさせてもらうと、
しばらくの間があった後で、

年輩漁師さん:「よし分かった。おれが行ってやろう」

と一言。おお!やった!朝一発目の交渉で随伴船が決まるなんて、本当にありがたい。
舟見参事に感謝である。そして、心良く了解してくれ、
明日、随伴船を出してくれる“平安丸”の板谷さんに感謝である。

交渉班は、そのままの勢いで、次の港である高屋漁港へ、
明後日朝顔金沢チームの方の紹介でつながっていた高屋漁港の漁師さんである番匠さんと会う。
高屋漁港の岸壁に付けてある船で一番大きな船である“栄光丸”という船で仕事をしていた番匠さんと挨拶を交わし、
航海の話を伝え、すぐに停泊許可と高屋漁港から狼煙漁港までの随伴船の確認をとることができた。
今日は、交渉がどんどん進む日である。

そして、番匠さんの話もいろいろ聞かせてもらった。
番匠さんは北海道などでも雇われ漁師をしていたが、人に使われるのが嫌で、地元の高屋に戻ってきて、1人で漁師をしている。
奥さんと娘さんは美しい海の見える峠の茶屋“つばき茶屋”をしているので、朝一で獲れた魚の一部をそこに納めたりもしている。
お父さんも漁師だったから、息子にも漁師をしてもらいたかったが、
息子さんは高校までは漁師になると言っていたのに、都会の大学に出て、今は介護の仕事をしている。
残念ではあるが、自分の仕事を好きになれと話をしているそうだ。
そんな、心の大きな優しそうで、芯の強そうな漁師さんである。そして見た目の体も大きい。
1人で自分のペースで仕事ができるから海が好きだと言っていた。

続いて、高屋漁港の番匠さんの紹介で狼煙漁港の“鳥海丸”の山崎さんに会いに行く。
網の整理の仕事をしていた山崎さんに話をした。
狼煙漁港の停泊許可はすぐに了解してくださったが、どうしても随伴船は出したくないという。
その理由は、内海に入りたくないということだ。狼煙漁港は能登半島の先の右端になる。
ここをかわすと富山湾に向かって大きな内海になる。
狼煙は外海と内海を流れる大きな海流がぶつかるところで、そこから先は、またまったく違った海の環境がある。
山崎さん曰く、

「外海に面した狼煙にはたくさん魚がいる。内海のもんがこっちに漁に来ることがあっても、狼煙のもんが内海に漁に行くことはない。
俺は嫌なものは嫌だからな。すまんな」

とのこと。その言い方は決して嫌な感じではなく、むしろすっきりと潔さすら感じるくらいだったので、
それ以上お願いを続けることも出来ない雰囲気であった。きっと譲れない約束事なのだろう。

すると、困った自分らを見て、山崎さんは

「高屋の番匠に電話してみろ、狼煙の山崎が行けないから、いってやってもらえんかと言っていると、言っていいから。あいつは内海にも行ったことがあるやつだから」

と言ってくれ、番匠さんに電話で事情を伝えると、
午前中の仕事が終わった後なら時間が読めないけれど随伴船を出してやってもいいと言ってくれた。

結果、番匠さんには、高屋から狼煙、狼煙から小木の2回随伴船を出していただけることになった。
番匠さん。本当にありがとうございます。
これで、輪島→高屋→狼煙→小木までのルートはほぼ出来上がった。あとは小木港の停泊許可を得るのみ。

時間が怪しかったが小木港を目指すと、漁協が締まる時間ギリギリで小木港の漁協に滑り込み、なんとか停泊許可をもらうことができた。

今日は一日の交渉で、約100km近い距離のルートを確保することができた。大収穫である。

輪島に戻って、宝物づくり班と合流し、その様子を聞いた。
宝物づくりは盛り上がり、地元の小学生達がたくさん参加してくれたそうだ。
そのほとんどは漁師の子で、中には漁師と海女のハーフという子もいたそうだ。
そして特に女の子達が元気いっぱいで、何をやるにも先陣を切っていたそうだ。

能登には「のとのととらく」という言葉があり、その意味は能登の女性はよく働くから旦那さんは楽ができるという意味である。
小さな頃から既にその兆しはあるようである。

しかし、今日の随伴船交渉で出会った旦那さん達は皆、決して楽をして、何もしていないようには見えず、
むしろ、番匠さんをはじめ、男気溢れる人ばかりであった。能登の“とと”は格好良かった。

明日は輪島港を出港し、高屋漁港経由で狼煙漁港まで航海予定。

(テキスト:五十嵐靖晃)

記録

日時 6月29日(金)20:00 天気 晴れ
現在地 輪島港 最高気温 21.3℃
緯度 37°24′241N 最低気温 14.0℃
経度 136°54′156E 湿度 69%
進行 停泊 風向
航海航路 停泊中 風速 4m/s
気圧 1011.7hPa
航行距離 0.0海里(0km) 波高 0.5m
航行時速 0.0kt(0km/h 降水量 0.0mm
出港時間 停泊中 日の出 4:34
入港時間 停泊中 日の入り 19:17
航海時間 0.0時間 満潮潮位 (9:25)39cm (23:56)32cm
船長 五十嵐 干潮潮位 (2:52)27cm (17:10)18cm
船員 喜多 森 深浦 随伴船 なし

 

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